SIer出身者の転職支援をしていると、SIerで働くことの将来性や転職市場での需要について聞かれます。
インターネットで、【SIer 将来性】と検索すると、「SIer はなくなる」や「将来性なし」、「SIer不要論」などといったネガティブ情報が多く、不安になっている方がいるのでしょう。
結論から申し上げますと、SIerの将来性がなくなることはないでしょう。
ただし、全てのSIerに将来性があるとは思いません。SIerの将来性について、キャリアコンサルタント目線で説明していこうと思います。
SIerで働くことの将来性について
価格競争になり独自性を持った企業が残る
当たり前のことですが、クライアント先からのシステム発注に対して、迅速、且つ安価で開発できるSIerの需要は高まっていくでしょう。今後はSIerの多くが価格競争となり、ディスカウント、且つ開発期間の勝負になっていくはずです。
もしくは、「ここにしか頼めない」といった独自の技術力を持ったSIerであれば、今後の将来性もあり、価格競争に左右されることも少ないはずです。
自分が今、やっている仕事が、他のSIerと差別化できないようでしたら、不安に思うべきかもしれません。
残業時間は今後も変わらない
価格競争以外にも、短期間でのシステム開発が求めらる傾向があります。本来6ヶ月で開発するところ、4ヶ月くらいで開発することを求められるかもしれません。その結果、SEの労働時間も長くなる可能性があります。大手SIerであれば、残業代をフルで支給してくれるかもしれませんが、中堅SIerなどであれば、残業代を払ってくれないところもあります。
残業時間が増えただけで、給与が変わらず時間給が減ったなんて話も珍しいことではありません。ITの発展により、今後もシステム開発の需要は高まりますが、価格競争と開発期間のシワ寄せが、SIerの方にくることでしょう。
一次請けSIerのみが高収入を得られる
プライム案件に携われる一次請けSIer(大手SIer)のみが今後も高収入を得られることになるでしょう。海外では下流工程の仕事に携わる方に、高い給与を支払う傾向にあるようですが、日本が上流工程の仕事に携わる方を高く評価するのは、今後も変わりません。
その背景には、圧倒的に上流工程に携われる人材が日本に不足していることがあります。
さらに、FinTech(金融×IT)やHR Tech(人材×IT)、AutoTech(車×IT)などと、今後のSIerには、様々なクラウドサービスを組み合わせることが求められてきます。クライアントのビジネスを成功に導くコンサルティングの要素がより一層強まります。
こういったコンサルタントとしてのスキルが身に付くのも、一次請けSIerに限った話になり、業界での市場価値が高くなります。
転職市場におけるSIer出身者の今後の需要について
事業会社・コンサルティングファームでのIT人材不足はさらに加速していくことでしょう。
クライアント先の人事担当者や現場責任者、役員レベルの方などと話をしていると、SIer出身者の需要はこれから先も高くなっていくと聞きます。ただし、SIer出身者だからといって、転職市場での需要が必ずしも高いとも言えません。
上流工程・PM経験者の需要は常に高い
AIの発展により、今後、簡単なプログラミング業務が自動化される可能性は高いです。
そのため下流工程の仕事は、どんどん自動化が進み、人材としての需要が低くなっていきます。どの業界でも言われていることですが、人材不足を解消するために、AIにより自動化する仕事は今後、さらに増えていきます。
ただし、感性を必要とする上流工程の仕事は人間にしかできない高度な業務です。
ITの発展により、上流工程、さらにPM経験のある方の採用は、今後も活発になっていくことでしょう。
最近では、AIエンジニア・機械学習エンジニアといった職種に注目が集まり、高い年収を得ている方もいます。現実的には、上流工程・PM経験者が転職先としての選択肢(求人案件数)のほうが、圧倒的に多いです。
二次請け・三次請けに長年いても限界がある
二次請け・三次請けで働くシステムエンジニアの方を悪くいうつもりはありませんが、転職市場において、一次請け出身者との市場価値の差は大きいです。
転職先で提示される年収だけではなく、転職先としての選択肢も限られます。
今後、キャリアアップを考えているのであれば、二次請け・三次請けSIerで長く働くことはオススメできません。特に、下流工程にしか携われないSIerで働いていても、将来的に給与も上がらず、残業時間が増えていくだけです。
今後の転職市場で、需要が高くなるのは一次請けSIerのみとなってくるでしょう。
大手SIerで働いていることに満足してはいけない
NRIやNTTデータ、富士通などの大手SIerで働いている方でも、現状に満足できず転職を考えている方が多いです。
「贅沢な転職理由があるんだろうなあ。。。」と考えてしまうかもしれませんが、「ビジネス検討フェーズに携わりたい」、「年収をアップさせたい」や「ボトムアップの会社で働きたい」などのシンプルな理由で転職を検討している方が多いです。 最近の傾向では、SIerやコンサルティングファームから事業会社に転職する方が増えてきました。なかには、年収を100万円くらい下げてまで事業会社に行きたいという方もいます。
セルフマーケティングのための相談も受けています
年間250~300人ものSIer出身者とお会いしていると、約1~2割の方が、転職市場における自分の価値について相談してきます。
私はキャリアコンサルタントとしての経験則を基にリアルな意見をお伝えしています。
転職のタイミングや今後のキャリアアップ、必要なスキルなどについてもアドバイスさせていただきます。無理に転職を勧めず、その方にとってベストだと思ったことを面談ではお伝えさせていただきます。
転職市場における自分の価値を知りたいと思ったSIer出身者がおりましたら、ご連絡ください。
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