転職市場がいくら売り手市場であったとしても、年齢や会社での評価、経験などによって、選べる転職幅は大きく異なります。一次請けSIerで働いていたとしても、転職先に困ってしまう方も多いのも事実です。
SIer出身者の転職先として、SIer・コンサル・事業会社と選択肢は大きく分けて3つ考えられます。中にはフリーランスになる方もいるでしょうが、あまりオススメはできません。下記では、年齢と現職での評価別によって考えられる転職の方向性について詳しく説明しております。
一次請けSIer出身者の年齢・評価別による転職先の選択肢について
評価◎:現職で継続して高い評価を貰っている方
評価〇:現職で評価が平均値の方
評価△:現職で評価されていない方
上記のように現職での評価を◎・〇・△で分けさせて頂きました。
また、転職先として考えられるSIer・コンサル・事業会社に関する選考の通過しやすさも◎・〇・△で分けました。
是非、一次請けSIer出身の方で、転職を考えている方は参考にしてみてください。
25歳の方の評価別による転職先について
評価◎の方の転職先について
25歳で現職での評価が高い方であれば、SIer・コンサル・事業会社と、スキル面で考えれば、どこも選考は通りやすく選択の幅は広いでしょう。
しかし、各業界によって求められるポイントが異なるので、説明させて頂きます。
SIer◎
大手SIerではエンジニア経験が3年以上ある方を積極的に採用しています。
もちろん、現職での評価が高いことが前提になりますが、業界に特化した経験や業務知識があれば、選考は通過しやすいです。
さらに小さいプロジェクトのリーダー経験があれば尚良く、競合のSIerから採用されやすいでしょう。
オファー年収に関しても、現職からスライドもしくは上乗せされるケースも多いです。
コンサル◎
コンサル業界はSIer以上に人材不足で、上昇志向の強い若手の方を積極的に採用しています。
有名な外資系コンサルになってくるとTOEIC800点以上は必要になってきますが、日系であればある程度のコミュニケーション能力がある方なら、問題ないでしょう。
書類通過後の面接でコミュニケーション能力を見てくるため、面接に自信のない方にとっては、面接対策は必須になってきます。
事業会社◎
リクルートテクノロジーズ及びリクルートグループなど、多くの事業会社がシステムの内製化を進めております。
そのため、どの事業会社も即戦力となるような中途採用を積極的に行っています。
リクルートグループのように成長中の企業やベンチャー企業では、若い方でもポテンシャルを見て採用する可能性はありますが、昔からあるメーカーみたいな大手企業では、採用枠も少ないので、2~3年と経験年数の少ない若手を積極的に採用していない可能性が高いです。
評価〇の方の転職先について
現職での評価が平均的な方であれば、SIerも経験によっては採用される可能性があります。
コンサルに関しては、評価◎の方と比べて、そこまで選考の通過しやすさに差はないでしょう。しかし、事業会社に関しては他の業界よりも難易度は高いです。
SIer〇
評価◎の方と同様にプロジェクトのリーダーもしくはサブリーダーのような経験があり、コミュニケーション能力がある方は、大手SIerに採用される可能性は高いでしょう。
また、現職での評価が平均的でも、周りとは違い、プライベートでエンジニアとしての技術を磨いている方も選考で評価されます。
コンサル◎
コンサルではSIerよりも積極的に若手を採用しており、社内で育成する傾向があるので、採用される可能性は高いでしょう。
しかし、入社後に自己啓発系の本や社内研修、勉強会などと学ぶ機会が増えてくるでしょう。
成長できる点や年収アップといった面を重視する方にはオススメです。
事業会社△
大手事業会社は採用難易度が高いので、現職で高い評価を得ていない方は難しいかもしれません。
ポテンシャル採用を行っている時期で、かつ面接対策を踏まえたうえであれば、採用されるかもしれません。
特に面接では、ものごとの考え方や話し方、向上心などといった面を重点的に見られるでしょう。
今までに現職での評価が平均的な方でも、人物面で採用された方はいましたが、かなりレアなケースです。
評価△の方の転職先について
現職での評価が低いため、SIer・コンサル・事業会社のどれも選考に通過することは難しいでしょう。
SIerであれば、現職よりも小規模なところであれば転職できるかもしれません。しかし、コンサルや事業会社の選考では、書類は通過しても面接で見送りになるでしょう。
転職によって現職よりも大手企業を狙うのであれば、現職で良い評価を貰えるようにしたほうが、優先順位として高いかもしれません。
30歳の方の評価別による転職先について
30歳前後になってくると、採用する企業側から即戦力を求められるため、スキルだけでなく業界知識やプロジェクトの規模、リーダー・マネージャー経験などが選考で見られます。書類選考はもちろん、面接での難易度は高くなっており、スキルが高くてもコミュニケーション能力で見送りになることも多いです。
評価◎の方の転職先について
評価が高い方であれば、SIer・コンサル・事業会社のどれも選考に通りやすく、評価の高い25歳の方と基本的には同じです。
ただし、30歳になってくると、PL・PMの経験が必須になりがちで、特に大手企業ではどこも、扱っている規模が同等のプロジェクト経験を求めてきます。
大手企業でのプロジェクトの受注額の中でも、大規模なものは1億円以上になってくるので、これはあくまで目安ですが、5000万円以上の規模のプロジェクトに携わっていることを求められがちです。
評価〇の方の転職先について
SIerやコンサルの選考の通過しやすは ◎ となっており、評価の高い方とそこまで差はありません。もちろん、PL・PM経験があることは前提となっております。特にコンサルはSIerよりも積極的に採用しているため、コミュニケーション能力に長けた方であれば、内定が出やすいです。
ただ評価の高い方に比べて、事業会社のみ選考が厳しくなりがちです。
事業会社〇
リクルートグループ含む大手事業会社は30歳を超えてくると非常に採用難易度が高くなっているため、面接対策が肝になってきます。
PL・PM経験があることはもちろんですが、クライアントやカスタマー目線で考えられる方を求めています。
また、周りを巻き込んでプロジェクトを推進してきたり、難易度の高いプロジェクトを成功させてきた方は内定率も高くなります。
評価△の方の転職先について
現職での評価が低いとコンサルや事業会社での選考に通過するのは非常に難しく、ともに選考の通過しやすいは △ でしょう。
コンサルであれば、コミュニケーション能力は必須となり、さらに英語力も求められることもあります。
事業会社では大手ではなく中堅以下の企業であれば、採用される可能性はあります。
SIer〇
現職での評価が低くても、年齢の割にプロジェクトマネジメント経験が豊富な方であれば、SIerへの転職も可能になってくるでしょう。
もちろん、30歳以降のSIerでの面接の難易度は高くなるので、面接対策は必須です。
35歳以上の方の評価別による転職先について
35歳以上になってくると、年齢が高くになるにつれて専門性や知識だけでなく、担当するプロジェクトの規模まで、同等以上の経験を必要となってきます。
35歳までの採用難易度とは違い、スキルや経験業界がミスマッチとなると書類選考で見送りになることも多いです。
評価◎の方の転職先について
PM経験があるのが理想ですが、仮にPL経験だけの方でも、ある程度大きい(1億円以上)プロジェクト経験が多くある方であれば、即戦力感があり高い年収を提示されやすいです。SIer・コンサル・事業会社ともに、年齢に見合ったスキルや知識を求められます。
上記を前提としたうえであれば、どの選考も通過しやすは ◎ となってくるでしょう。
評価〇の方の転職先について
SIer・コンサルの選考の通過しやすはともに ◎ です。内容としては、評価の高い方と同様で、即戦力感が必須となってきます。さらに加えるのであれば、規模だけでなく、難易度の高いプロジェクトを成功させてきた方は、特に必要とされるでしょう。
事業会社△
リクルートグループを含めた大手事業会社は非常に難易度が高いため、同期よりも大規模なプロジェクトマネジメントにアサインされて、豊富な経験がある方であれば、採用される可能性があります。
評価△の方の転職先について
SIerであれば、採用される可能性はありますが、選考の通過しやすさは 〇 といったところでしょう。
同規模の競合他社であれば、採用される可能性があります。しかし、コンサルや事業会社では、評価の低い方が大手に採用されることはまずありません。
選考の通過しやすさは △ となります。
一次請けSIerの方でも評価やキャリアによって転職幅は全く異なります
一次請けSIerの方でも、評価や経験、業務知識だけでなく、携わってきたプロジェクトの規模によって、転職先の幅は大きく異なってきます。
特に20代後半になってくると、コミュニケーション能力を面接では見てくるため、面接対策は必須となってくるでしょう。
「35歳定年説」なんてことを世間的に言われていますが、あながち間違いではありません。35歳を境に企業の採用難易度が上がるのは確かです。
転職を急かすつもりはありませんが、若いうちに自分の方向性を定めておく必要はあります。また、自分の転職市場での価値について知っておくことも大切です。
もし、一次請けSIerの方で、自分の転職市場での価値を知りたい方や転職を希望している方がいましたら、相談ベースでも構いませんのでお気軽にご連絡ください。
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